人生100年時代。『人が輝く仕事、人で輝く会社』をビジョンに掲げ、
社員が安心して『80歳まで元気で働ける職場』を目指したい。

過去に多くの試練に見舞われながらも、そのたびに「人」の力で立ち上がってきたサンブライト。「人こそ財産」という創業当時から大切にしてきた想いと、東日本大震災からの再建を経てアップデートされた新たなビジョン『人が輝く仕事、人で輝く会社』。時代の移り変わりの中でも、常に「人」を中心に据えた変革を行ってきたサンブライトが考える、これからの働き方とは?

人生100年時代、自らの未来に思いを馳せたことはありますか?

この質問の答えを準備している方は少ないのではないでしょうか。しかし、これは誰もが直面する課題です。余裕をもって人生を描いておくことで、今の生活に安心をプラスすることができるのではないかと思います。医療の進化や生活様式の変化により、平均寿命はどんどん延びています。まもなく、女性の平均年齢は90歳を超えると見込まれています。『人生100年時代』がそう遠くない将来だということは想像に難くありません。

長く生きるようになれば、より多くのお金が必要です。そうすると、所得から貯蓄に回す割合を増やすか、働く年数を増やすかしかありません。人生80年時代を想定した『3ステージモデル』という今までの固定概念を変える必要があるのです。この状況を考えたとき、私は会社として何かできないかと考えました。なぜなら、社員全員が大切で社員全員が困っている顔を見たくない、そう強く思うからなのです。

もちろん、どのように生きるかは、個人の状況や希望によって三者三様です。だからこそ、社員の人生の「選択肢」をサンブライトがあることで増やすことができたら、と考えたのです。

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  • 出典:令和4年版高齢社会白書(全体版)(内閣府)
  • 出典:「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略」
    (リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著、池村千秋訳/東洋経済新報社、2016)

サンブライトでは安心して日々過ごしていけるよう、いずれも一定の条件を満たし、本人が希望すれば『80歳まで元気で働ける職場』を目指します。また、一度リタイアしても、もう一度社会に出たいと思った元職員が何らかの形でサンブライトに戻り、関与していただけるような環境作りも目指してまいります。金銭面で生活が成り立たないからという理由だけではありません。「昔の仲間と話したくなったな」、とか「人生で学んだ何かを仲間に伝えたくなったな」でもきっかけは何でもいいのです。大事な社員が、サンブライトで誰かに求められ、人と接し、喜びや苦労を分かち合い、自分と仲間の成長を喜ぶ、究極の充実した人生の期間を一緒に過ごせたら私は幸せです。

私たちの笑顔がお客様を笑顔にすることを信じて

私たちのビジョン「人が輝く仕事、人で輝く会社」には、「人」の文字が2つ入っています。社員の笑顔が出るときは、お客様の声に誠実に耳を傾け、熱意を持ち努力をした結果、満足いく製品が作り上げられた時です。つまり社員の笑顔は、仕事の品質にもつながり、お客様の満足に繋がると創業当時から強く信じ実践するように呼び掛けています。先代から受け継がれている「人こそ財産」の思想、それを肌で感じる出来事がありました。

サンブライトは過去多くの試練に見舞われましたが、2011年3月11日の東日本大震災に起きたことは忘れることはできません。私たちは住み慣れたふるさと「大熊町」を離れ、福島県内の各地に避難することを余儀なくされ、想定もできなかった大事態に、経営陣は会社をたたむことが頭をよぎりました。緊急で集まった役員会。これから会社をどうしていったらよいのか、呆然とした中で、「(立て直しを)やるしかないでしょう」と口火を切ってくれたのは長年サンブライトを支え続けてくれた社員でした。その日から多くの社員が会社に思いを寄せ、自分事としてサンブライトを再建するために動きまわり、会津若松市に新工場を建設したのは、震災同年の12月のことでした。異例のスピードだと自負しています。

しかし、震災のショック、再建の忙しさで社員の心身は想像を絶するほどダメージを受けていたと思いますが、それにも関わらず、会社として社員一人ひとりの状況に目を向けることができない状態が続いてしまいました。その結果会社を離れる者は増え、製品も不良品を多く出してしまうという悪循環に陥ってしまいました。新工場の稼働に合わせて、最新の設備を導入したものの、設備ばかりに頼ることが続き、創業当時から大切にしてきた「人こそ財産」の観点を見失ってしまったのです。この経験は二度と忘れることができません。

その後も新型コロナウィルスによる、世界を揺るがしたパンデミックにより苦渋の決断を下す時代も経て、私は何度も何度も「会社存続とは」を考えました。そこで行き着いた答えは、「人こそ財産」でした。そこから、その観点をふんだんに取り入れた制度の構築に取り組み始めました。

キャリアパス制度を策定し、そのキャリアパス制度の流れに沿った教育制度を見直すことで、サンブライトの未来の人事制度を支える根幹部分を作りました。そして、生産管理体制を強化し厳格な品質保障の取り組みを仕組化し、経営改革を推進したのです。その結果、会社全体に共通言語ができたことにより、会議の質が上がり、生産性も向上したのです。製品の不良品率も大幅に低下しただけでなく、品質も向上。機械では作ることのできない製品だからこそサンブライトにお願いしたい、というお声をいただくことも増えてきたのです。つまり、作れるサンブライトの「人」を頼って仕事が舞い込んでくるようになったのです。

今、社員には、「やりがい」や「向上心」が芽生えはじめています。社員自らが会社を変えようといった強い意志が感じられるようになりました。サンブライトのHPコンテンツは社員自らが提案した内容で構成されています。研修や会議への参加姿勢も見違えるように積極的になってきました。ちなみに、キャリアパス制度をゼロから構築したのは、サンブライトの社員です。「人こそ財産」の仕組みを、財産である「人」が作ってくれたのはとても誇りに思います。

サンブライトは「人が輝く仕事、人で輝く会社」をビジョンに掲げています。上述したエピソードはほんの一例ですが、まさにこのビジョンを具現化したものだと思っています。だからこそ、私の一番の務めは「社員が安心して、気持ちよく仕事をする環境をつくる」ことだと思っています。

社員の人生における選択肢を増やすこと、会社としてできることをやっていきたい

人生100年時代。サンブライトに貢献してくれている社員全員が、どんな状況でも悲しむ顔をみたくない、それは経営者として強く思っていることです。社員にはそれぞれの人生がありますが、会社としてできることは社員の人生における選択肢を増やすこと、つまり「働ける場」を提供することなのではないかと考えています。健康面等も考慮しながら一定の条件を満たし、社員が望めば80歳まで働ける。「ライフ重視ワーク型」を望む社員には、短時間勤務等の制度を設ける。そして、人生の再チャレンジや家族の時間、趣味の時間を存分に過ごすためサンブライトを退職した後、「やっぱりもう一度サンブライトに帰りたい」と思ったら戻ることができるアルムナイ制度も導入したい、そのようなことを考えています。人事制度全般に関わることなので、そう簡単には構築できないとは思いますが、しっかりと制度を整えることができれば、若い労働力の確保にも波及する気がしています。可能であれば、社員の健康管理にも力を入れていきたいですね。

このような制度を社員が活用したい!と思ってくれることはとてもうれしいことです。しっかりとした制度になるよう、失敗を恐れず、社員とともに前をむいて挑戦していきたいと思います。

最後に、弊社には64歳で入社した社員がいます。入社後すぐに65歳の定年を迎え、会社側からの要請で再雇用契約を結びました。その能力を踏まえ67歳で昇格もしていただきました。誰もが納得する昇格だったと思います。経験を経たからこそ見えるものがあり、多くの社員のサポートをしてもらいつつ、これまでの知見を発揮し部署の大きな柱として仕事をしてもらっています、「新しいこと」に常に挑戦する強い気持ちで仕事に向き合っている姿は、社員のよい見本となっています。人生を謳歌し、「誰かのために働きたい」という想いが伝わってくるのです。「年金」からではなく「給与」から、お孫さんにおこづかいを渡すことが生きがいだそうです。そのような「人」でいっぱいになるといいなと思っています。